キラル -たとえ今日が世界の終わりだったとしても-
1.ノック!ノック
キラル 【chiral】

語源:ギリシャ語のcheir(手の意)

光学異性の性質。左右の手のように、
鏡像関係にあって重ね合わせることのできない物質の性質。
掌性(しようせい)。対掌性。

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[ノック!ノック]

突然、パソコンのスクリーンに文字がポップアップされた。

[ノック!ノック]

インターネットで新しいゲームをサーチしていた私の手が止まった。

[ノック!ノック]

心臓に強い衝撃が走った。
有り得ない・・・。

[ノック!ノック]の合言葉を知っているのはたった一人。

4度目の[ノック!ノック]メッセージに、
私は震える手でマウスを動かし、カーソルを合わせた。

[送信者:アール]

アールとは親友、大沢綾子の愛称。
いや、正確には親友だった大沢綾子だ。

綾子のはずがない。
何故なら、彼女は私の目の前で死んだから。

[ノック!ノック]


もう、この世には居ないアールこと綾子から
チャットの誘いが届いていた。
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