チキンとウサギ
チキン・チキン
『うーわー…』
床に並べられた数多くの服を前にため息一つ。
チキン・チキン!
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ため息の原因は昨日にさかのぼる。
金曜日、次の日は休みと言う最高の時間を終えて私は家でのんびりと金曜日の夜を過ごしていた。
ふと、スマホがなっているのに気付き見ると、画面には
入間 蓮司
としっかりでていた。
思わずスマホを落としそうになるが、無視するわけにもいかないので出てみたら
「明日花祭りあるのしってるか?よかったら二人でいかねー?」
思わず即答でいいよ、といってしまった。
という訳で冒頭に至る。
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ヒラヒラした服は
『これははりきりすぎだよね』
ズボンは
『これは女の子らしくない』
『これは寒そう』
『これは逆に暑そう』
『色暗い』
『もう!決まんない!!』
たかだか お 友 達 !と、お祭りに行くだけなのに何をこんなに悩む必要があるの
『(でも、男女二人で友達同士って思われるのかな…)』
モヤモヤと祭りを楽しむ自分達を想像してみる。
『ちょっとはずかしいかも…、』
タハハー、と一人で笑いながら服を選んでいると、一階からインターフォンの音が聞こえてきた。
「あいー?お友達来てるわよー」
階段下からお母さんがそういうので、適当に服を着て、一階へ
『だれー?』
「だれーって、この間の子よ」
『?えっ』
んふふーとニヤニヤするお母さん、なんとなく焦る私。
玄関を開けるとそこには
「おー、おはよ」
『れっ、蓮司くん!』
玄関を開けるとそこには今私を悩ませている蓮司くんが立っていた。
『どっ、どうしたの?』
「蓮司君?っていうのかしら?立ち話もアレだし…リビングにどうぞ!」
『!?』
ウキウキした揚子のお母さんは蓮司くんをリビングへと招いた。
「いいんすか?お邪魔します!」
『あっ、あ、どうぞ!』
「ありがとな、その格好女の子って感じがするな!」
『えっ!?そうかなぁ』
楽そうだから、という女子力皆無な理由で選んだワンピースを蓮司くんは褒めてくれた。
『(蓮司くんは、なんか…足細っ…)』
蓮司くんは黒のジーパンをはいており、それに春物ブーツのような靴をはいていた。
上は白いシャツに藍色の長めの男物カーディガン。
「どうぞごゆっくり~‼」
私たちにお茶をだして、奥へ引っ込んだお母さんは終始ニヤニヤしていた。
『(もう、なんなの!)』
「急に家来てごめんな」
『えっ、あ、いいよ!でも、どうしたの?』
「あーいや、さっきこの辺でひったくりあったらしくて…迎えにきたんだ」
『ひ、ひったくりなんかあったんだ』
「おー、もしなんかあったらダメだから、でも勝手に来てごめん!」
『いいよ!気にしないで、蓮司くんって優しいんだね』
「そぉーか?」
ニッと笑った蓮司くん、つられて私も笑う。
『あっ、蓮司くんのそのカーディガン、良い色だね』
「ん? あぁこれは、昨日学校帰りに誠に今日のこと言ったら、買い物に連れてかれたんだ」