私の彼氏さま!!
「結果的には俺もダメだったけど。
何故か今、すごくすっきりしてるんだ。
これからも宜しくね、汐音」
「夕樹くん…
あの時はありがとう。
これからも友達でいてね」
「もちろん」
すっ、と両手を広げた夕樹くん。
「好きな人として接するのは今日で最後。
だから、いいでしょ?」
その意味がわかって苦笑してしまった。
夕樹くんに近寄ると少しだけ背伸びしてその背中に腕を回す。
彼も優しく私を抱きしめる。
「お前、ずりぃ」という秋くんの声が耳に入ってきて、それがなんだか可愛らしくて微笑んだ。
夕樹くんから離れると、私は2人の手を取って、ぎゅっと握る。
「ほんとに、ほんとにありがとう!
2人には感謝の言葉を言っても
言いきれないよ。
本当は今日、時間の許す限り話したかったけれど…私はもう帰らなきゃ。
だからごめん、先に帰るね」
「いいよ、また学校でね」
「気をつけて帰れよ」
「うん、じゃあまた!」
置いていた鞄を持って立ち上がると、
私は歩き出す。
後ろから視線を感じるけれど、
決して振り返ることはしなかった。