私の彼氏さま!!
途端、愛羅の口から牛乳の噴水がでる。
ムセたせいで涙目になっている愛羅の背中を苦笑しながらさすってあげる。
「だから我慢できなくて。
…別れて、家を出てきたの」
「何それ、汐音というもんがありながら…
最低じゃん! 完璧浮気じゃん!」
これだから最近の男は…
と、ぶつぶつ言う愛羅。
「まぁ、汐音、あれだ。
また明日から新しく始めればいいんだよ」
牛乳の最後の一口を飲み終えた彼女は口元を拭う。
「だからって、無理に忘れようとする事はしなくていいと思うけれど。人を想うのなんて、その人の自由でしょ」
「そうだね」
そして気がつくといつの間にか
2人分の布団が敷かれていた。
「ねぇ、汐音」
「ん?」
愛羅は、敷いた布団の中に入って、体ごと私の方を向く。
「泣きなよ」
いつも学校では見せない真剣な表情。
そして、静かな…温かな声。
その言葉に包み込まれたかのように、
私の心が温かくなって、
胸が熱くなり、
視界が歪んでいく。