私の彼氏さま!!



ふらふらと力無く立ち上がった私の周りに、クラスメイトが集まる。


「大丈夫?」

「話しならいつでも聞くから」



温かなクラスメイトの言葉に胸が温かくなって、また泣きそうになる。



「みんな、あ…りが、と」




「いいっていいって~」





私は、なんて幸せ者なんだろう。


例えそれが偽りの言葉だったとしても、
私は幸せだよ。









その時、廊下から大きな音が響いた。

クラスメイト達も何事かと驚いている。





恐る恐る廊下を見てみると、思い切り凹んでいる用具入れの扉と、廊下に転がっているバケツや箒。


そこにいたのは愛羅と瑠美香ちゃん、そして…



「っざけんじゃねーよ!
アンタに汐音の何が分かるんだよ!?
誰のせいで、あの子が何度も泣いたと思ってんだよ!

うちは、あんたが年上だろうが汐音の〈元〉彼氏だろうがなんだろうが、
そんなの関係ない。

黙って無いでなんとか言いなよ…壱条!!」






ドガッッ




秋くんの胸倉を掴み、左頬を思い切り殴った愛羅。
殴られたそこは、すぐに赤く腫れ上がる。


ふと瑠美香ちゃんを見ると、彼女の頬も赤く腫れ上がっていた。






もしかして、これ…






愛羅がやったの…?
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