私の彼氏さま!!


ガラス窓の所から覗くと、真っ先に視界に入ってきたのは瑠美香ちゃん。

その表情を見て目を見張った。



彼女が、静かに涙を流していたから。




そう言えば、秋くんと電話で話したと言っていたけれど…
何か知ってるのかな…
何かを知ってるから、そんな顔をするの?



私は一歩後ずさると、静かに席に戻った。




「最後まで話聞かなくて良かったの?」

「中山くん…うん、いいの」



私の隣の席に腰掛けて頬杖をつく彼。


「あのさ、汐音」

「えっ?…あ、なに、中山くん」


いきなり名前で呼ばれて驚くと中山くんは天使のような微笑みを浮かべた。


「名前」


「??」


首を傾げると中山くんはクスクスと笑う。

「名前で呼んでよ、『夕樹』って」


「ええと、呼んでもいいの?
彼女さんに失礼じゃないかな?」



おずおずと、そう言うと中山くんは手を左右に振った。

「彼女?
そんなの、いないよ」


「え、いないの!?」
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