私の彼氏さま!!
「そんな可愛い笑顔浮かべてどーした?」
「あ、愛羅。
それが、今度夕樹くんと会うことになった」
びっくりして隣を見ると愛羅がいた。
足音ひとつしなかったから、全く気づかなかった。
「ふーん、中山とね…。
あいつもとうとう、本気出してきたか…。
まぁ、その日くらいは何も考えずに楽しんでね」
「うん、そうするよ」
「あ、汐音。
うち暫く謹慎になったから」
緩んでいた頬が、
愛羅の放ったひとことで一気に硬直していく。
ぇ、愛羅が謹慎…?
なんで? と言おうとしたが、ひとつだけ思い当たる節があって、その言葉を飲み込む。
きっと、さっきのアレだ。
「いつまで、なの?」
彼女がいない学校生活なんて、
考えられない。
「んーと、明日から3週間」
顔色一つ変えずに言う愛羅。
「3週間て…長すぎるよ」
しょんぼりとしていると、愛羅は私の肩を…叩きながらケラケラ笑う。
「何笑ってるのよー」
「いやー、だってさ?
一緒に住んでるのに、って思って」
「…?」
「だーかーら、一緒に住んでるんだから
毎日毎日、顔合わせるでしょ?」
その言葉に私は自分でも笑顔になるのが分かった。
「そうだね!!
それなら、学校では大丈夫かも」
「そーそー、だから…」
「いっ…、いしゃい いしゃい!!」
思い切り頬を引っ張られて涙目になる。
「そんなしんみりした顔しないの!
分かった?」
「うぅ…分かったよ~」
「なら、よし」
完璧、私の反応を楽しんでいる愛羅は
真っ白い歯を見せてニカッと笑う。