私の彼氏さま!!
秋くんの、ストーカーをしてた?
…あの女の人が?
それで、その人と秋くんが寝た…?
「なん、で…?」
何をどうしたら、ストーカーの女の人と寝ることになるの?
ちょっと待って、なんか分からなくなってきた。
掴んでいた肩を離すと、愛羅は私の瞳をまっすぐに見つめる。
「なんでかは、うちも知らないよ。
だから今日の放課後、聞きにいこう」
「でも、聞くって言ったって誰に…」
そう言い終わらない前に携帯の画面を見せてきた愛羅。
そこには彼氏と思われる人の寝顔の写メがあった。
「勿論、うちの彼氏に!」
「あ、彼氏カッコイイ。
じゃなくて、…うん、わかった」
ふと、私の隣を見る愛羅。
「てなわけで、ごめんね中山」
その言葉で、そう言えば夕樹くんもこの場に一緒に居たんだと思い出す。
「大丈夫だよ」
そして私の方を振り返り、柔らかな笑みを浮かべた。
「行っておいでよ。ずっと待ってるからさ」
けれどその笑みはどこか寂しそうに、
悲しそうに見えて…。
そのことに胸がズキッと痛む。
「…ごめんね、夕樹くん」
その言葉に少し苦笑すると私の頭を優しく撫でる。
「ごめんねより、ありがとうの方がいいな」
「うん、ありがとう」
「どういたしまして。
あ、ほら2人ともあと5分で講義始まるよ」
夕樹くんはそう言うとにこっと微笑んで手を振りながら席に戻ろうとしてー…
ぴたり、と足を止める。
そして私の方を振り返り、
「話しを聞いて、汐音の気持ちが元カレに揺らいでも、俺は諦める気はないから」という言葉を残して再び歩き出した。
「中山も汐音に本気なんだね」
ニヤッと笑みを浮かべるとこのモテ女が~、と言いながら私の頬をツンツンとつつく。
「もう、やめてよねー」
「はははっ、うちらも席つこう」
「うん」
それからの講義は、放課後の事で頭がいっぱいで内容が全く頭に入ってこない。
放課後まで、あと30分ー…