エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「・・・・・・ちょっと待って。ねえお母さん」
「なに?」
「僕、いつから学校行っていいんだっけ」
「週明けから」と私が答えると、秀一郎はスマホに向かって「週明けから」と善に言った。

「うん・・・・・・うん、分かった。ありがとう・・・うん。じゃあねー。はい、お母さん。善さんがお母さんと話したいって」
「あ・・・」

私は顔に笑みを貼りつけて、秀一郎からスマホを受け取ると、スマホの向こうにいる善に、「はい」と言った。

「アキちゃん。電話くれて、ホント・・ありがとな。俺、一安心した」
「うん」
「後さ、イオたちが言ったことだが」
「あぁ。あれはもう・・」
「ちょっとは気にして」

善の冗談めいた言い方もおかしかったんだけど、てっきり「気にしないでほしい」と言われると思っていただけに、つい私はプッとふき出してしまった。

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