エチュード ～即興家族（アドリブファミリー）～

「平気だったら“平気だ”と即答できるだろ？」
「そ、そんな・・・」
「一瞬でも迷った。考えた。ということは、俺が他の女とつき合っても、平気じゃないということだ。そして俺も、アキちゃんが他の男とつき合うことは平気じゃない。てか完全却下」
「何言って・・・」
「秀がいるからって理由だけじゃない。まんま、平気じゃない。絶対嫉妬する。他の男にアキちゃんを渡したくない。好きだから」

・・・この人の黒い瞳に吸い込まれそう・・・。

一心に私を見る善のキリッとした顔は真剣で。
食い入るように彼を見ていたら、善が急にニッコリ笑って。

私は催眠術が解けたように、目をパチパチと瞬きした。