エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「・・・善」
「ん?」
「秀一郎は・・・2学期いっぱいまで今の学校に通わせたい」
「そーだな。あと1ヶ月くらいだし。そっちの方がキリいいよな。じゃ、秀が冬休みの間に引っ越しするか」
「・・・うん」
「物件は」
「あなたに任せる」
「分かった。ウェブで目星つけてそっちに送るから。アキちゃんもいいなと思うのあれば、俺に送って」
「うん」と言って頷いた私の左手を、善がそっと持った。

そして、私の薬指に、プラチナの指輪をはめてくれた。

「よっしゃー。サイズパーフェクトにピッタリー!」
「え。これ・・・いつの間に・・・」
「あんときサイズ測っただろ?」
「えぇっ!ホントにあれで分かったの!?」

指輪よりも、そっちの方にビックリしている私を見て、善はクスクス笑った。

< 147 / 183 >

この作品をシェア

pagetop