エチュード ～即興家族（アドリブファミリー）～

「・・・え」
「終わりだ」
「う・・・ん。じゃ、ぁ」

・・・そうよ。
私たちの結婚生活はもう終わりだって、私から言ったんじゃないの。
それに善が同意してくれただけのことのなのに。
なんか、アッサリし過ぎというか、あっけないというか・・・。

だからなんで私はまた、泣いてるの？

それでも私は泣きながら、どうにか善に「さよなら」と言って、彼から離れようとしたけど、今度は善が私を離そうとしない。

「おいおいアキちゃん！終わりっつーのは、寝室別なのが終わり！」
「・・・へ？」

目をパチパチさせながら、善を仰ぎ見ている私の顔は、絶対間抜けな表情をしてるに違いない。
でも善は、そんな私の顔を見てもゲラゲラ笑わずに、ただニッコリ微笑んでくれた。