エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「今の俺らに必要なのは、会話と甘いスキンシップ」
「・・は?」
「大体、俺らの寝室が別だったら、会話する時間もそれだけ減るし、アキちゃんも勘違いするんだよ」と言いながら、善が顔を近づけてきた。

「アキちゃん・・」
「は・・・」
「もう俺・・・」

善が低い声で囁きながら、合間にキスしてくる。
それは、瞬きする間もないくらいあっという間で、微かな唇同士の触れ合いなのに、唇と鳩尾がジンジン疼く。

「ガマンする気・・・ないから」
「は・・・んんっ」

今度は、長くてゆったりした、熱いキスだった。
こんなキス・・・そう・・・善はいつもこういう・・・優しいんだけど、所有欲をむき出すような、静かで激しいキスをしてくれて・・・。
足がガクガクして・・・立てない。

私が善に全身を委ねたのと同時に、彼は私を抱きかかえて、数歩先にあるベッドへ、優しく寝かせてくれた。
そしてキスをしながら、どんどん私の服を脱がせていく。

「ぜん・・・」
「今からここが、アキちゃんの寝室。そして・・・俺と一緒に寝る。いい?てか、もう嫌とは言わせない」
「う・・・」

私たちが夫婦になって初めての「甘いスキンシップ」は、こうして始まった。


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