エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「おはよ」
「・・・おやすみ」
「おいおい。まだ寝るのか?」
「もう少し寝たい・・・あ。善、今日仕事?」
「うんにゃ。今日はオフなり~」
「あ、そ・・」
「だからもうちょっとベッドでイチャイチャできる、っていってぇ!うぅ、てかないす後ろ蹴り・・・」
「もう勘弁して」
「できない」
「じゃあ加減して!」
「それは・・・マジで?うーん・・・」
「・・・なんで考えるのよ」
「だって。アキちゃんのことを好きだって表現することを加減するとか、俺には難しいことだしー」
「は。いやそんな・・・」
「それよかアキちゃん。こっち向いて」
「さっきまでそっち向いてたからやだ」と私は言ったのに。

善は強制的に私を自分の方へふり向かせると、私の額と左右の頬、そして唇に軽くキスをしたけど、私はまだ、頑なに目をつぶっていた。
それでも、キスされたときに、つい瞼が震えてしまったのは・・・朝からこの人にドキドキさせられっぱなしだからに違いない。

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