エチュード ～即興家族（アドリブファミリー）～

３ヶ月後。

「秀一郎ー。そろそろ学校に行く時間よー」

私がリビングから声をかけると、「はぁい！」という元気な秀一郎の声が聞こえたのと同時に、バスルームのドアが勢いよく開いた。

「全部用意できた？」
「うん！じゃあ行ってきま・・」
「ちょーっと待って！寝ぐせがまだ少し残ってる・・・」
「お母さん。これ寝ぐせじゃなくて、わざとしてるんだよ」
「え？あぁ、そぅ・・・」

この寝ぐせ・・じゃなくて髪型はちょっと・・・母としては微妙というか・・・。
でも、と思いながら、私は息子の顔をじっと見た。