エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「なぜ善の名字を知っている」
「え?」
「あんた、善の知り合いか」
「あぁ、まぁ・・・昔の・・・」
「女か。ったく善のヤツ・・・スキャンダルはお断りだ」
「私だってそんなことを望んではいません!」
「だったら今すぐ帰れ!」
「できません!言ったでしょう?息子の命がかかってるって。私のことなんてどうでもいいんです。でも息子は・・・死にかけてるんです」

ついに涙が出てきてしまった私に、社長さんは舌打ちすると、「分かったよ」と言いながら、エレベーターへ乗せてくれた。

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