エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「アキちゃん。秀一郎くんが入院してる病院はどこ」
「さがみ原総合病院」
「それ都内じゃないな」
「ううん、違う。両親が住んでるところに引っ越したから」
「あ、そう」
「じゃあ適合検査だけだったら、俺んちでした方が早いな」
「俺んち、って」
「歩夢んちは東慈恵病院を経営してるんだ」
「俺の姉ちゃんは、そこの外科医」
「で、俺の双子の弟の伊吹は、そこで内科医してる。ついでに、歩夢の姉ちゃんのちとせさんと、伊吹は結婚してて(作者注:「ロンリーハーツ」参照)・・・あ。今ちとせさん、育休中じゃなかったっけ」
「関係ねえよ。英(えい)兄ちゃんいるから、どーとでも優先してもらえる。てか、緊急事態なんだから最優先してもらう」とアユムは言いながら、ポケットからスマホを取り出した。

「わりいな、歩夢」と言った善に、電話をかけ始めたアユムは、手を上げて応える。

なんか・・・あれよあれよという感じで、物事が進んでいく。
私もこの場にいるんだけど、ポツンと取り残されているような・・・いや、違うか。

ハイスピードに進む今の物事に、私は全然ついていけてない。
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