エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「アキちゃん、俺の番号、拒否ったり消したらダメだぞ」
「そんなこと・・・」

と言いつつ、実はそうしようかと少しだけ・・・思ったりしてたこと、見透かされた?

「俺だって秀の容態知っておきたいから」
「あ・・・・・・」

そうだよね。
ドナーとして、秀一郎の父親として、それは当然の心理だよね。

「な?」
「・・・分かった」

渋々私が返事をしてすぐに、彼女が善を「迎え」に来た。

「善、早く行かないと、ホントにもうやばいから」
「分かってるって。秀は」
「大丈夫。容態は安定してるよ」
「そっか。じゃ、慌ただしくてごめんな」
「ううん!そんなこと気にしないで。気をつけてね」

「ああ」と言って笑った善の顔と、秀一郎の笑顔が、少しダブって見えた。


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