一度でいいから好きだと言って


「ーーーー!!斯波さん、起きてはっーーー」

立ち上がって逃げようとするわたしの腕を引き、ソファーに座らせすぐに唇を塞がれる。

髪が短いわたしのむき出しの項を撫でて、上唇を食み、下唇を食まれ、舌を入れられて口内を蹂躙される。

身体中の力が抜けて、背もたれに体重を預ける。

斯波さんのキスはどんどん深くなっていって、わたしも溶かされて溺れていく。


斯波さんのキスは気持ちいい・・・・・。

朝のこの人との時間が好きだった。

この人のことが好きだった。





「ご馳走さん」



唇が離れ、斯波さんの熱が離れていく。



「お粗末さまでした」
出来るだけ軽い感じで返しておく。
斯波さんが少し目尻を下げる。


もうこの人は明日からはいない人。


会いたくても会えなくなる人ーーーー。









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