一度でいいから好きだと言って
それから3年、両親に言われてお見合いもしたし、研究室の院生に告白されたりもした。
けれど、誰とも付き合う気になれなかった。ひょっとしたら斯波さんとのキスに呪いでもかかっていたのかもしれない。
そして
わたしはもうすぐまた失業する。
研究室の教授が退官するのだ。新しく来る教授にはちゃんと秘書がいるのでわたしは用なしらしい。
これからどうするかなー・・・・・
幸い両親と一緒に暮らしているし、暫くは働かなくても大丈夫なんだけど、アラサーで結婚予定なし無職女と考えるとすごく自分が情けない気がする。
「兼崎さん、教授の退官記念パーティーの出欠の返事、ほぼ揃いましたよ」
学生の一人が名簿を持って来る。
「あ、ありがとう」
受け取ってチェックする。