一度でいいから好きだと言って


あともう少ししたら、わたしも中に入ろうか。ぼんやりホテルの中を見回す。



向こうからひときわ背の高いスーツ姿の男の人がやって来る。



あかん。

わたしちょっと疲れてるかもしれない。
幻覚が見える。


「ちはや」

幻聴まで。


「ちはや!ボケてんの?」


「・・・・・・・・・・ホンモノ?」


「大丈夫かよ?」



「ご無沙汰してます。もう始まってるから早く中に・・・・・」

「おう」
踵を返し、会場に入ろうとした斯波さんがふり返る。

「ちはや、話がある。パーティー終わったら上のバーで待ってる」

「・・・・・わかりました」


話・・・・・?

斯波さんの話しが何なのか気になって、パーティーで誰と会話したのかも定かではない。

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