一度でいいから好きだと言って


「翠ちゃんすごーい!」

「美味しいの食べて貰いたくて頑張っちゃった」

「何を手伝おうか?」

「あ、じゃご飯が炊けてるんで寿司桶にあけてお酢を混ぜてもらえますか?」

「OK、ちらし寿司ね」

寿司桶を炊飯器の隣に置いて、蓋を開ける。炊きたてのご飯の匂いが立ちのぼった。


途端に嘔吐感がこみ上げて、しゃがみこむ。


「ちはやさん!?」


茜ちゃんがキッチンに飛び込んでくる。


ハンカチを口に当てて必死で堪える。


「ちはやさん、それって・・・・・」


どんどん血の気がひいていくのがわかる。

「茜、ちはやさんどうしたの?」

「お姉ちゃん、冷蔵庫からペリエ出して」

茜ちゃんに支えられて椅子に座ると、翠ちゃんがペリエの入ったグラスをくれた。
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