一度でいいから好きだと言って


「ちはやさん、わたしもご飯の炊ける匂いがダメやったの。炭酸水飲むとちょっとラク になったから試してみて」

「茜、それって・・・・・」
翠ちゃんが言葉をなくす。

そうだよね。
結婚もしてないし、予定さえないわたしがこんなことになって驚くよね・・・・・。

「ごめんね、2人ともびっくりさせたね」

「それは大丈夫。っていうかちはやさん、相手のこと聞いていい?」
茜ちゃんが遠慮がちに口を開く。

「相手なんていないわよ。わたしだけの子やから」

「そんなマリアさまやあるまいし・・・・・」

「オレも是非聞かせて欲しいね」
ヒンヤリした声音が後ろから聞こえた。



「陸・・・・・・・・・・」



帰宅したところなのか、スーツのままだ。

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