一度でいいから好きだと言って


「・・・・・・・・・・ごめん」

「なんで?まさか堕すつもりやった?」

「そんなこと思うわけないでしょ!好かれてない男の子供でも1人で産んで育てるつもりだったわよ!」

泣くのは狡いと思うのに、視界がだんだん歪んでいく。

「好かれてないってどういうことや!」

「だって陸、一度も好きって言うてくれたことないやない!」

「はあ!?」

「責任取るって言うばっかりで・・・・・」

「・・・・・・・・・・お前、最初にオレが抱いたときのこと覚えてへんの?」

「・・・・・・・・・・?」

「マジかよ・・・・・」
陸がガシガシと頭をかき毟る。

「好きだってオレは何度も何度も痛がって泣いてるお前の耳元で言ったはずや!なんで覚えてへんの?」



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