旦那様にはハチ蜜を
最悪へのカウントダウン
華やかな水色のドレスを身にまとい。

そこら辺のお嬢様との格をみせつける。

それが本来あるべき凛堂(りんどう)家の姿、それを私がこのパーティでしるすのだ。


怖いものなんて無い。

手に入らない物なんて無い。

全てを手にする事を、今まで当たり前だと思っていた。

だってそれは、ここは“お金がモノを言う世界”なんだから。




「今日の凛堂 由梨(ゆり)様は、いつもより華がありますわね」


「ええ。凛々しいお姿、惚れぼれしますわ」


「あら、凛堂様の噂をしていたら、満神楽 渚(みかぐら なぎさ)様も到着さたみたいですわよ」


「ああ、今日もなんてお美しいことでしょう」


パーティに出席していた女性陣の多くは、黄色い声を上げながら、遅めに登場した男のもとへと駆けてゆく。

こんな面倒なパーティに出席する理由の1つ。

それは彼だ。


私は出席者から少し離れた隅っこの柱に背を預け、遠目に彼を見つめる。


「カッコイイ...なぁ」


黒い艶のある髪をセットして、話しかけてきた女性陣に笑顔で対応する紳士的な行動。



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