Jealosy
『新人さんは学生さんなんですか?』


お客さんがいなくなった隙に、ユイは店長に尋ねる。


もし、店内にお客さんがいる時に話かけようものなら、
たちまち店長の機嫌は悪くなり、
閉店後に呼び出され注意を受けるのは目に見えている。


そういう意味で、


さすがに3年も一緒にいると、


この店長と働くにあたって、自分がしていいこと と いけないこと の区別はだいぶつくようになっていたし、


そうすることで、ユイは、自分の身を守るようになっていた。


『学生さんじゃないわよ。30歳の人よ。遅番だからもうすぐ来るんじゃないかしら…』


店長は、さっきお客さんが試着したワンピースをハンガーに戻しながら、素っ気なく答えた。


………30歳??


さすがのユイも驚きを隠せない。


だって、今までのバイトの子はみんな10代か20代前半だったのに…。


(そんな年上の人にあたしが指導するなんて…できるのかな。
向こうも、年下のあたしなんかに教えられるの、嫌な気分になるかもしれない…)


しかし、そんなユイの不安はあっけなく裏切られることになる。


そして、この後に現れるユウコこそが、


ユイの運命を大きく狂わせる。


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