天才ってどんな味がするの？

私は人ごみの喧騒の中その中心部に入って行った。
「顔を見ると短い黒髪の可愛らしい少年だ（どこかで見覚えがあるな……）」
少年は私の顔を見ると
「あ、やっぱり『早戸』ってお姉ちゃんのことだったんだ！」
「（え？！）」
「俺だよ、近所の芽生え教室で一緒に脳力トレーニングしたの覚えてない？」
「……あ！　君、春一君か？　春風春一君！」
「そう、よく覚えててくれたね。えへへ」
春一君ははにかんでいる。
私がこの子を覚えているのはその通っていた芽生え教室で、
私に近い成績を唯一修めていた男の子だったからだ。
二歳も年下だったのに……だ。
「俺、お姉ちゃんがこの学校にいるっていう噂聞いたから、一生懸命勉強してこの学校に編入してきたんだ！！」
「そ、そうなの……（何のためだ？）」
「もちろん約束……忘れてないよね？」
「あ……もちろん（……え？　何だったけ？！）