-愛し君へ-
隣の部屋。
この町で見つけた可愛い可愛いアパート。
薄い桜色で塗られた壁。
中には他のアパートよりもちょっと広い部屋。

「お嬢さん、どうします？この部屋にしますか？」
業者に言われた一言。
迷わず私は言った。
「はい！ここにします！」

今日からここであたしの生活は始まるんだ―･･･


まだ咲き始めた桜の時期。

私はちょうど20歳になった。

三ヶ月前、両親を事故で無くし、妹は親戚に預けられ、当の私は一人暮らしすることに決めたのだ。

そして、駅からそんな遠くない場所にあるこのアパートはすぐに気に入った。
なんとも部屋が広いって言うのはいい。

春山唯《ハルヤマユイ》
ある会社で働いているOL。
少しづつ仕事を覚えているようなものだ。(物覚えが悪い。)

今日は引っ越して3日経った日。
妹は高1になっていっしょに住む予定だったが親戚のババァがうるさいため仕方なく預けた。

コンコン･･･

「はぁーい。」

私の部屋をノックする人はたった一人だけ。

「弘樹!!」

ドアの前には私の愛する人･･･

先田弘樹。

会社のマーケティング課の部長。
一年前から付き合っている彼。
温和で包容力があり、とてつもなく優しい。






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表紙・目次

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