アーバン・ウォーリア
ニ話・世界は俺に理不尽である。
見失ってしまった。明らかに故意的にこちらから逃げていたと思ったが、何故だ?私が何かしたのだろうか?いや、私はただ、極秘に本部からの的確に任務を遂行していただけだ。
彼を護衛する任務を。
2話・世界は俺に理不尽である。
「ただいまぁぁ……」
俺は家につくと力無くソファーに倒れこむ。俺の親父が覗き込む。つーか今気づいたが最近なんか禿げたな親父。
「おう、どうした?なんかそんなに疲れることでもあったか?」
親父はまあ、当然俺がストーカーに追われてたことを知らない。話したら色々面倒くさいことになりそうだ。なのでテキトーにはぐらかす。
「まあ、色々ね……」
やばいちょっと文章失敗したか……。やれやれつくづく俺は慢心だと思わされる。
「そんなことよりまたマシンワーカーが送られてきたんでな。手伝ってくれ」
親父は俺が怪しいのに気づいないのか話を始めた。ちなみマシンワーカーっていうのは日本の某企業(ご想像にお任せします)が開発した人型重機だ。マスタースレーブによるコントロールで簡単に操作できる。マスタースレーブってのは……まあ、人間の動きを感知しロボットに反映するシステムだ。俺は他の重機に関してはまだまだだが俺はMWにの事なら親父より詳しい。え?なんでかって?俺はロボットオタだからだ!なんか文句あるか!まあ兵器の方のMWはどこも非公開多いし知らないが……。
「はいはい。手伝うよ……」
名残惜しくも俺はソファーから起き上がる。そういや駅にチャリとめたまんまだ。明日回収しないと。俺は家の外に出て隣の倉庫みたいな建物に向かう。うちの親父は重機専門のジャンク屋を営んでいる。こんなんでも一応社長だ。いや、こんなんでもって言ったら流石に親父に失礼か……。倉庫の横を見ると壊れたシャベルカーが一台止まっている。こいつはここを建てたときから変わらずにここに置いてある。長年立ち続けるその姿はここのマスコット?みたいになっている。別名、智枝美。今はいないうちの母さんの名前だ。母さんはもともと身体が弱く病気になりやすかった。俺が中1の頃に病で亡くなった。あのときは散々泣いたっけ……。それで何故このシャベルカーは智枝美と呼ばれているかというとまあ、俺と親父の危機を救ったからだ。2年前この建物を建てている途中に突然鉄骨が倒れてきた。その下には俺と親父がいた。俺と親父は直前まで気づかなかった。気づいたときには目の前に鉄骨が迫っていた。死を覚悟し俺は目をとじた。ふと俺自身が新聞の一面に出ているのが浮かんだ。そのとき俺たちの目の前に突然何かが突っ込んできた。そしてその何かは寸前で鉄骨を受け止めた。目を開けると無惨に運転席がひしゃげたシャベルカーがあった。後で聞いたのだがこのシャベルカーには誰も乗っておらず突然暴走したらしい。親父は母さんが守ってくれたんだと思い、壊れたシャベルカーを安く引き取りここに飾ってあるらしい。ただ、このシャベルカーが邪魔でえがお重機とはいっているステンレスのプレートが見えない。えがお重機とはうちの会社の名前だ。親父が決めたらしいが流石の俺でもネーミングセンスなさすぎだろと思う。もっとかっこいい名前がいい。メタルガレージとかどうだろう。まあ、ありきたりだが……中に入ると様々な種類の重機がある。ロードローラー、ダンプカー、ブルドーザーなどなど……
「こっちだ」
親父の後を追い俺は奥に行く。俺がマシンワーカー作ったスペースにそれはあった。被っていた梱包用の布を剥がし中の獲物を見て俺は驚愕した。マシンワーカーは大体4メートルの物が殆どだ。しかしこれはその2倍はある。マシンワーカーよりもかなり複雑なフォルム。間違いない。これは……
「マシンウォーリア!?」
見たことのないデザインだった。どこかの国が非公開にしているのならありえる話だが……。いや待て待て、なんで民間の重機専門のジャンク屋にこんなもんがきてるんだ!?
「親父!これどこで引き取った!?」
「なんか門の前に置いてあったんだよ……。よくわからねえ」
ちょっと待ってちょっと待っておとぉぉさんなんでこんなもん落ちてるのぉぉお!?普通兵器なんて道に転がってたりしないよね!?とりあえずそのマシンウォーリアを見ていく。とりあえず俺は自分専用のマシンワーカー、『ラスタ2』に乗り込む。引き取ったものを自力で修理、改造したものだ。そこそこ旧式だが現用機にも引けを取らない自信がある。この機体、マシンワーカーではかなりマイナーだが個人的には非常に使いやすい。
「とりあえずジャッキ使って機体を持ち上げるか……。親父ー!危ないからどけー!」
俺は親父に向けて叫ぶ。
「はいはい!ったく……」
目を皿のようにして機体を観察していた親父は渋々離れた。俺は鍵をさしマシンワーカー『ラスタ2』を起動する。いたって普通のディーゼルエンジンが唸る。足と腕をユニットの中に通す。足と腕をユニットの中に通すと、リング型の運動感知ユニットが締まり、少し窮屈に感じる
『マスタースレーブ最適化……完了』
合成音声が淡々と伝える。これは改造するにあたって俺がつけた機能だ。もともとはパネルに文字を表示するだけである。つけた理由はなんとなくかっこいい。それだけである。ペダルを踏むとラスタ2は歩き出す。ちなみに俺はガキの頃からマシンワーカーに乗っているので乗り慣れている。器用に鉄骨を避けて俺はジャッキを謎のマシンウォーリアに取り付ける。ジャッキを起動。ゆっくりとマシンウォーリアが起き上がっていく。ジャッキは自動なので俺は何もしなくていい。だが、マシンウォーリアの塗装が剥げないように少し持ち上げる。持ち上げる途中で機体を覆っていた布が落ちた。機体が立ち上がったので正面に回り機体を見ることにした。
「おお……」
凛々しく引き締まったボディ、力のあるツインアイ。ヒーローな見た目は実に俺の好みだ。さらっとまわりを見たが内蔵の武器は無さそうだ。これなら銃刀法には引っかからないな。にしてもこんな機体を誰が家の前に置いてったんだ……。こんなもんどこに相談したらいいんだ?やっぱり交番なのか?いや……そんなことしたら大ニュースだぞこれ。というか高校入学したばっかなのになんかとんでもないことばかりだ。とにかく謎のマシンウォーリアは倉庫奥にしまって置くことにした。というかもう1時間たってしまった。取り敢えずもう寝たい。
「親父、俺ちょっと寝てくる……」
「おお。大丈夫か?無理はするなよ」
親父も流石に気にかけてくれてるらしい。まあ、俺は軽く手を振り家に戻った。そしてリビングのソファーでいびきをかいて寝た。
4時間は寝ただろうか。俺は何かに叩き起こされる。
「……きてー!起きて!お兄ちゃん!御飯だよ」
全く、なんだと思ったら妹の美香だ。取り敢えずここは寝たふりしてよっと……。
「起きてって……」
おや?気のせいか?なんか寒気が……。
「言ってるでしょ!!」
「ゲフォ!!」
頭にフライパンを叩きつけられる。痛い痛い死ぬほど痛い。というか死ぬよね?あんなもんぶつけられたら死ぬよね?
「あ、起きた」
悪気がないように美香が言う。笑顔は凄い可愛い。これは兄であるこの俺が保証する。
「それだけかよ!?」
謝りもしないのかよ!!だが、破滅的な天然である我が妹には効果がないようだ。
「くっ……我ながら自分の妹が恐ろしい」
思わず言ってしまった。そしてこんなときに必ず帰ってくる言葉が、
「お兄ちゃんだって厨二病でしょ」
グサリと心に言葉が突き刺さる。ただでさえ気にしてるのに妹にまで言われるとかなり傷つく。
「頼むから言わないでくれ……。お前にまで言われるとかなり凹むから……」
「お兄ちゃんがあんなこと言うのが悪い」
そっちとこっちじゃ火力が違いすぎるだろうが!!というか騒いでたらなんで俺が起こされたのか忘れてしまった。
「というか、なんで起こしたんだ?」
「だ・か・ら……」
美香が高速旋回して……
「ごはんっていたでしょお兄ちゃん!!」
回し蹴り。俺は脇腹をえぐられる。運動能力が高い。はっきり言って勝てない。全く……
「なんで世界は理不尽なんだ……」
俺は脇腹を押さえながらぼやいた。
彼を護衛する任務を。
2話・世界は俺に理不尽である。
「ただいまぁぁ……」
俺は家につくと力無くソファーに倒れこむ。俺の親父が覗き込む。つーか今気づいたが最近なんか禿げたな親父。
「おう、どうした?なんかそんなに疲れることでもあったか?」
親父はまあ、当然俺がストーカーに追われてたことを知らない。話したら色々面倒くさいことになりそうだ。なのでテキトーにはぐらかす。
「まあ、色々ね……」
やばいちょっと文章失敗したか……。やれやれつくづく俺は慢心だと思わされる。
「そんなことよりまたマシンワーカーが送られてきたんでな。手伝ってくれ」
親父は俺が怪しいのに気づいないのか話を始めた。ちなみマシンワーカーっていうのは日本の某企業(ご想像にお任せします)が開発した人型重機だ。マスタースレーブによるコントロールで簡単に操作できる。マスタースレーブってのは……まあ、人間の動きを感知しロボットに反映するシステムだ。俺は他の重機に関してはまだまだだが俺はMWにの事なら親父より詳しい。え?なんでかって?俺はロボットオタだからだ!なんか文句あるか!まあ兵器の方のMWはどこも非公開多いし知らないが……。
「はいはい。手伝うよ……」
名残惜しくも俺はソファーから起き上がる。そういや駅にチャリとめたまんまだ。明日回収しないと。俺は家の外に出て隣の倉庫みたいな建物に向かう。うちの親父は重機専門のジャンク屋を営んでいる。こんなんでも一応社長だ。いや、こんなんでもって言ったら流石に親父に失礼か……。倉庫の横を見ると壊れたシャベルカーが一台止まっている。こいつはここを建てたときから変わらずにここに置いてある。長年立ち続けるその姿はここのマスコット?みたいになっている。別名、智枝美。今はいないうちの母さんの名前だ。母さんはもともと身体が弱く病気になりやすかった。俺が中1の頃に病で亡くなった。あのときは散々泣いたっけ……。それで何故このシャベルカーは智枝美と呼ばれているかというとまあ、俺と親父の危機を救ったからだ。2年前この建物を建てている途中に突然鉄骨が倒れてきた。その下には俺と親父がいた。俺と親父は直前まで気づかなかった。気づいたときには目の前に鉄骨が迫っていた。死を覚悟し俺は目をとじた。ふと俺自身が新聞の一面に出ているのが浮かんだ。そのとき俺たちの目の前に突然何かが突っ込んできた。そしてその何かは寸前で鉄骨を受け止めた。目を開けると無惨に運転席がひしゃげたシャベルカーがあった。後で聞いたのだがこのシャベルカーには誰も乗っておらず突然暴走したらしい。親父は母さんが守ってくれたんだと思い、壊れたシャベルカーを安く引き取りここに飾ってあるらしい。ただ、このシャベルカーが邪魔でえがお重機とはいっているステンレスのプレートが見えない。えがお重機とはうちの会社の名前だ。親父が決めたらしいが流石の俺でもネーミングセンスなさすぎだろと思う。もっとかっこいい名前がいい。メタルガレージとかどうだろう。まあ、ありきたりだが……中に入ると様々な種類の重機がある。ロードローラー、ダンプカー、ブルドーザーなどなど……
「こっちだ」
親父の後を追い俺は奥に行く。俺がマシンワーカー作ったスペースにそれはあった。被っていた梱包用の布を剥がし中の獲物を見て俺は驚愕した。マシンワーカーは大体4メートルの物が殆どだ。しかしこれはその2倍はある。マシンワーカーよりもかなり複雑なフォルム。間違いない。これは……
「マシンウォーリア!?」
見たことのないデザインだった。どこかの国が非公開にしているのならありえる話だが……。いや待て待て、なんで民間の重機専門のジャンク屋にこんなもんがきてるんだ!?
「親父!これどこで引き取った!?」
「なんか門の前に置いてあったんだよ……。よくわからねえ」
ちょっと待ってちょっと待っておとぉぉさんなんでこんなもん落ちてるのぉぉお!?普通兵器なんて道に転がってたりしないよね!?とりあえずそのマシンウォーリアを見ていく。とりあえず俺は自分専用のマシンワーカー、『ラスタ2』に乗り込む。引き取ったものを自力で修理、改造したものだ。そこそこ旧式だが現用機にも引けを取らない自信がある。この機体、マシンワーカーではかなりマイナーだが個人的には非常に使いやすい。
「とりあえずジャッキ使って機体を持ち上げるか……。親父ー!危ないからどけー!」
俺は親父に向けて叫ぶ。
「はいはい!ったく……」
目を皿のようにして機体を観察していた親父は渋々離れた。俺は鍵をさしマシンワーカー『ラスタ2』を起動する。いたって普通のディーゼルエンジンが唸る。足と腕をユニットの中に通す。足と腕をユニットの中に通すと、リング型の運動感知ユニットが締まり、少し窮屈に感じる
『マスタースレーブ最適化……完了』
合成音声が淡々と伝える。これは改造するにあたって俺がつけた機能だ。もともとはパネルに文字を表示するだけである。つけた理由はなんとなくかっこいい。それだけである。ペダルを踏むとラスタ2は歩き出す。ちなみに俺はガキの頃からマシンワーカーに乗っているので乗り慣れている。器用に鉄骨を避けて俺はジャッキを謎のマシンウォーリアに取り付ける。ジャッキを起動。ゆっくりとマシンウォーリアが起き上がっていく。ジャッキは自動なので俺は何もしなくていい。だが、マシンウォーリアの塗装が剥げないように少し持ち上げる。持ち上げる途中で機体を覆っていた布が落ちた。機体が立ち上がったので正面に回り機体を見ることにした。
「おお……」
凛々しく引き締まったボディ、力のあるツインアイ。ヒーローな見た目は実に俺の好みだ。さらっとまわりを見たが内蔵の武器は無さそうだ。これなら銃刀法には引っかからないな。にしてもこんな機体を誰が家の前に置いてったんだ……。こんなもんどこに相談したらいいんだ?やっぱり交番なのか?いや……そんなことしたら大ニュースだぞこれ。というか高校入学したばっかなのになんかとんでもないことばかりだ。とにかく謎のマシンウォーリアは倉庫奥にしまって置くことにした。というかもう1時間たってしまった。取り敢えずもう寝たい。
「親父、俺ちょっと寝てくる……」
「おお。大丈夫か?無理はするなよ」
親父も流石に気にかけてくれてるらしい。まあ、俺は軽く手を振り家に戻った。そしてリビングのソファーでいびきをかいて寝た。
4時間は寝ただろうか。俺は何かに叩き起こされる。
「……きてー!起きて!お兄ちゃん!御飯だよ」
全く、なんだと思ったら妹の美香だ。取り敢えずここは寝たふりしてよっと……。
「起きてって……」
おや?気のせいか?なんか寒気が……。
「言ってるでしょ!!」
「ゲフォ!!」
頭にフライパンを叩きつけられる。痛い痛い死ぬほど痛い。というか死ぬよね?あんなもんぶつけられたら死ぬよね?
「あ、起きた」
悪気がないように美香が言う。笑顔は凄い可愛い。これは兄であるこの俺が保証する。
「それだけかよ!?」
謝りもしないのかよ!!だが、破滅的な天然である我が妹には効果がないようだ。
「くっ……我ながら自分の妹が恐ろしい」
思わず言ってしまった。そしてこんなときに必ず帰ってくる言葉が、
「お兄ちゃんだって厨二病でしょ」
グサリと心に言葉が突き刺さる。ただでさえ気にしてるのに妹にまで言われるとかなり傷つく。
「頼むから言わないでくれ……。お前にまで言われるとかなり凹むから……」
「お兄ちゃんがあんなこと言うのが悪い」
そっちとこっちじゃ火力が違いすぎるだろうが!!というか騒いでたらなんで俺が起こされたのか忘れてしまった。
「というか、なんで起こしたんだ?」
「だ・か・ら……」
美香が高速旋回して……
「ごはんっていたでしょお兄ちゃん!!」
回し蹴り。俺は脇腹をえぐられる。運動能力が高い。はっきり言って勝てない。全く……
「なんで世界は理不尽なんだ……」
俺は脇腹を押さえながらぼやいた。