素直になれない。
プロローグ
梅雨が明けて暑くなり始め、
高校生活にも慣れてきた一年の夏。
俺はある悩みを抱えていた。
それは至って簡単なことである。
──女子のメアドを持っていない
今、そんなことって思った?
いや、これはかなり重要な問題だぞ。
中学時代は彼女とかいなかったし、
そもそも女子と仲良くしてるタイプの
男じゃないしな。
高校に入ればきっと華やかな生活が。
待っているはずだったのに…
そう現実は甘くはなかった。
俺は、女子にメアドを聞くことができない
臆病者であったのだ。
< 1 / 14 >