素直になれない。
俺は少しドキドキしながら
3人を送っていく。
「今日は楽しかったよね。
てか、北条くん案外しゃべるんだね。」
神崎が話しかけてきた。
「俺もちゃんとしゃべるさ。
席が悪いだけだ。」
「席のせいにしてはダメだよ。
今はクラスの女の子は北条くんの
イメージ悪いからね。」
やっぱりそうですか。
どうにかして誤解をとかないと。
そんなことを考えていると
神崎がある提案をした。
「あ、そういえば北条くん私たちの
メアド持ってないよね。
交換しよ。」
神崎、お前天使じゃないか。
「そうだな、せっかくだし交換するか。」
さっそく交換した。
これ初めての女子のメアドじゃない?
女なんて母ちゃんくらいしか
なかったこの携帯についに。
神様ありがとう。
さらに神崎は半田の近くにいき、
「ほら、咲も交換しよ。」
「え、なんで私が。」
「教えてもらったんだしいいじゃん。」
「う、うん。じゃぁ…」
別にいらないならいらないって
言えばいいのに。
半田としぶしぶ交換した。
でもなんだろ、少し嬉しいような…。
いや、そんなことはないからな。
それにしても一日で
こんなにいいことがあったとは。
高校生って素晴らしい。
それから他愛もない話で盛り上がった。
「あ、うちと由華の家はこの近くだから、
もう大丈夫だよ。また学校でね。
バイバイ。」
中村と神崎は帰っていった。
あれ、待てよ。
半田と二人きりかよ。
どうするんだこれ。
とりあえず何か言わないと。
「おい、半田。お前の家どっちだよ。」
「えと、あっちだよ。」
「そうか。一人にするのも危ないし
送るわ。」
「別にいいよ。あんたなんかに
送ってもらわなくてもいいし。」
「もう暗くなってるからせめて
近くまでは送ってやるよ。」
「うん、わかった。」
仕方ないけどこんな暗い道を
女の子一人に行かせるほど
ひどい男ではない。
それに少しこのシチュエーションが
嬉しいかもしれない。
特に話すこともないまま歩いていた。
「あ、もうここでいいよ。
今日はありがと。じゃぁね。」
「おぅ。またな。」
「あと、まだ許してないからね。
北条が謝らないかぎりね。」
そう言って半田は帰っていった。
あれ?今北条って言ったよな。
さっきまで変態だったのに。
少しは許してる証拠なんだろうな。
それになんだろう。
少しドキッとした気が…
ないない。そんなことないからな。
さっさと帰らないと母ちゃんに
怒られるわ。
こうして長かった1日が終わった。