素直になれない。



──お昼休みの教室。



俺はテンションガタ落ちで


友達と昼飯を食べていた。


「さっき女子から聞いたぞ。

お前、半田のパンツ覗いたって。」


こいつは、一宮 雄貴 (いちのみや ゆうき)。


小学校からの親友である。


中学時代同じバレー部で共に


戦いあった仲である。


ついでに女子とよく話していて


案外モテる。長身のイケメンだ。


ただ、本人はモテることに気づいてない。


鈍感男なのかもしれない。


「まて、あれは誤解だ。

俺は外を見てただけで…。」


「そういうな。その気持ちはわかる。

パンツ見たいのはお前だけじゃない。」


やはりみんな勘違いしている。


そんな目的は最初からないからな。


本当にな。


ってか、あいつ半田っていうのか。


勝手に俺に濡れ衣着せやがって。


勘違いもいいところだな。


あームカついてきた────





「おーい、和也くーん。

聞いてるかーい?」


どうやらまた一人の空間に


入ってたみたいだ。


「ごめん聞いてるよ。

えと、なんだっけ?」


「やっぱ聞いてねーじゃん。

来週期末テストだしさ、

土曜日俺の家でテスト勉しようって

話だぞ?ついでに女子も誘っておいた。」




俺の体に稲妻が走った。


じょ、女子だと…。それ本当ですか。


雄貴様、あなたは素晴らしい。


モテる男はやることが違うな。


もちろん行く。と即答した。



「あ、でも当日まで和也が行くって

黙って置かないとな。なんせお前は

覗き魔だからな。」


「おい、その言い方やめろよ。」


そんなことはどうでもいい


とうとう俺にも女子と勉強という


夢のようなシチュエーションがくるとは。


よし、女子に教えれるように事前に


予習はしておこう。


俺の株を上げるために。


でもあの誤解を解かないとな。


そのためには───




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