アジュールブルーに彩られ
「はぁ、はぁ、くそっ」
疲れたのか、と
やっと終わったその行為に
安堵する
のも、束の間
彼女がリビングを出た
それだけで彼女の対象があたしから弟にうつったことを把握する。
「や、めっ゙」
振り絞った声は痛みへと変わる
立ち上がろうとついた手は震えて力が入らない。
想像以上にこたえた身体も上手く機能しない
が、痛みをこらえ憎しみをこらえ恐怖をこらえ彼女のあとを追いかける
「おかあ、さ、」
恐怖に怯えた弟の声が聞こえる
と、同時にバチンッと憎しみの音がする
急いで階段を上り
弟の部屋に転がり込む
「やめ、て、やめてっくださ、い、」
無我夢中で叫んだ。
あたしの涙で歪んだ視界にうつるのは、頬を赤くさせ同じように歪んだ視界をさせる小さな小さな彼
そんな小さな命を
庇うように抱きしめる
あたしじゃ守りきれない
あたしじゃ助けられない
、わかってる。
痛みを分け合うこともできず、
痛みを堪えることもできず、
震える小さな身体を
震える中くらいの身体で
包み込んでただひたすら耐えるだけ。
もう母親が何を言っているのかなんてわからない
ただ、腕の中で無色の涙を流す弟の
悲痛の叫びが
耳にこびりついて消えなかった。
「あお色なんて、だいきらいだっ。」