一ノ瀬さん家の家庭事情。
ガチャン!

リビングのドアの方から何かが割れる音がして、みんなが一斉にその方向を向く。

そこにはわなわな震えながら立っている、りっちゃん。

「あ、愛!?今、彼氏がいるって…」

あーあ、また面倒臭いことになっちゃった。

誤解を解くのに時間がかかりそう…

「りっちゃん?あのね…」

「そういう律兄は?最近帰りがずいぶん遅いみたいだけど、なんかあるの?」

あたしが弁解をしようと口を開いたとき、隣から落ち着いた声がした。

玲ってば、ストレート!

でも今回は助かった!ありがとう!


「…それは!…まとまったら話すから!」

まとまったら話す?

ってことは、やっぱり何か隠してるの?

素直で馬鹿正直なりっちゃんがここまで隠すことって何?


そしてモヤモヤしながら、学校に行く。

教室に入って、目に飛び込んできたのはヘッドホンで音楽を聞いている、あたしの隣の席の人。

そうだよ、りっちゃんのことばっか考えてすっかり忘れてたけど、あたしこの人と隣の席になったんだ。

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