一ノ瀬さん家の家庭事情。
しかも足を投げ出してるから、通れない!

どうしよう、でももうすぐ朝のホームルームが始まっちゃうし…

「あ、あのー…」

無視。

ええい!もう!

「あっ、あの!!」

少し大きめの声を出すと、めんどくさそうにヘッドホンを外す。

「…何?」

「えっと、あたし、そこの席なのですが、通りたくて…」

おそるおそる彼の足を指差す。

久住君は自分の投げ出している足を見ると、ひょいと引っ込めた。

「あ、ありがとうございます…」

ひゃー…怖かった…

すごい睨まれたし!

やっぱり葉ちゃんが言ってた、あたしと話せるなんて嘘だ!

まず話しかける以前に、話しかけてくんなオーラが出てます!

そして朝のホームルームが終わり、一時間目は苦手な数学。

必死で黒板に書いてある数式を写していると、隣からツンと、何かでつつかれて。

「なあ。」

その原因は久住君がシャーペンであたしの腕をつついていた。


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