一ノ瀬さん家の家庭事情。
なっ、なに!?

あたし、なんかしたっけ!?

固まってると、久住君はあたしの手元を覗きこんだ。

「教科書見せて。」

えっ!?

意外な言葉に思わず目をぱちくり。

だって授業なんて聞いてないのかと思ってたし…

「うわ、お前間違えだらけじゃん。ここ、計算ミス。なんで2+3=6になってんの?こんなん小学生レベル。」

教科書を覗きながら、あたしのノートも覗きこまれて、持っていたシャーペンでぴんとチェックをつけた。

あ、そっか。

ここの足し算、計算ミスしてたからどうしても答えが合わなかったんだ!

って、感心してる場合か!

「真ん中に置けよ、教科書。」

それ、あたしのなんですけど!

何勝手に動かしてるの!

それにあたし、まだ見せてあげるなんて言ってないよ!

と言いたい気持ちより怖さが勝って、あたしは素直に自分と久住君の机の間に教科書を置いた。

早く、早く授業よ終わってくれ!
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