一ノ瀬さん家の家庭事情。
ただでさえ苦手な数学だから、真剣に聞いとかないとまた期末テストで真兄の地獄特訓だよ…

50分の授業はまるで三時間位に感じて。

ようやくチャイムがなったとき、まるで天使が鳴らす鐘のように聞こえた。

「ありがとな、えっと、名前なんだっけ。」

あら、この人、お礼とか言うんだ…

って、あたし、偏見持ちすぎだよね。

失礼だよ。さすがに。

見た目は怖いけど、意外と話せるのかな。

これから隣の席なわけだし、もっとクラスで友達増やしたいし…

よし!

「一ノ瀬愛です、よろしくね。」

思いきって、自己紹介。

「おー、よろしく。」

そう言うと、久住君はまたヘッドホンをつけて机に突っ伏してしまった。

思ったより怖そうな人じゃないのかな。

でも、元浅丘君たちのチームメイトなんだよね!

中学時代の浅丘君の話とか、聞けないかな…

なんて!

あたしってば、やだ!

やっぱり、もう自分の気持ち、わかっちゃった。



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