一ノ瀬さん家の家庭事情。
委員会が終わったのは七時前。

結局部活に行けなかった…

「愛、お疲れ様。一緒に帰ろうか。」

「うん、あたし教室にカバンおいてるから取ってくるね。」

優兄が下駄箱で声をかけてくれた。

優兄も大変だな。

こんなこと年中やってるんだもん。

小学校の頃から児童会や学級委員だった優兄。

中学の頃なんて生徒会長であり、剣道部部長でもあり、成績もトップクラス。

あたしの自慢の、お兄ちゃん。

教室に入ると、電気がついていた。

「あ、浅丘君!?」

教室にいたのは、とっくに部活が終わったはずの浅丘君。

席が離れてしまってから全然話さなくなっちゃったから、こんなに近くで見たのは久しぶり。

相変わらずかっこよくて、ドキドキする。

やっぱりあたし、浅丘君が好きなんだ。

「どうしたの?もう遅いのに…」

「いや、なんか…」

浅丘君が珍しく口ごもってる。

どうしたのかな。


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