一ノ瀬さん家の家庭事情。
あっ!

そういえば優兄が待っててくれてるんだった!

「じゃあ、あたし帰るね!バイバイ!」

「一ノ瀬っ…!」

教室を出ようとして、扉の方を向いた瞬間、椅子の脚に引っかかって転びそうになる。

「危ねー…大丈夫だった?」

大丈夫、じゃない!

近い!

心臓、ドキドキ聞こえてないかな!?

「ご、ごめんね!あたしったら、ほんとどんくさいんだから!えっと、ありがとう!」

あたしはそれだけ言うと教室から出て走り始めた。

走ってるせいもあるけど、ドキドキが止まらないよ!

「愛、遅かったね。何かあったの?」

優兄は下駄箱にもたれかかりながら待っててくれてて。

好きな人と遭遇して、ドキドキしてました!

なんてたとえ相手が優兄だろうと言えやしないよ!

「ちょっとトイレに行ってたの!さ、帰ろ帰ろ!」

顔赤くなってないかな。

優兄、感づいてないよね!?

「今日は律兄、いるかな。」






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