一ノ瀬さん家の家庭事情。

「いんだよ、どうせノートとったって成績悪いのに変わりねえもん。」

なぬ！？

それは聞き捨てならないセリフだな！

「だめだよ！あたしもノート取るのに精一杯で成績良くないけど、せめてそれくらいはしとかなきゃ！留年したくないでしょ！」

だからあたし、ノートだけはいつも綺麗だなってあたしのことを滅多に褒めない真兄にもこの前のテスト週間中に褒められたんだ。

「でも今の席とか、一番後ろだし。」

「じゃああたしの見せてあげようか？」

人に見せれるのはノートくらいです！なんていうのも少し悲しいけど…

「いいのか？」

「うん！あたしのでよければ！」

「じゃあ、よろしく。」

こうしてあたしは久住君にノートを貸すことになった。

そして午後からの授業中、隣の席でずっとノートを写してる久住君。

本当は勉強熱心な人なんだね。

あたし、色々誤解してたのかも。

チャイムが鳴ると同時に、久住君はあたしの机の上に現代文のノートを置いた。