一ノ瀬さん家の家庭事情。

チャイムが鳴ると同時に、教室からは感嘆の声。

「あー！夏休みだ！」

「俺、赤点だよ…」

たくさんの声が上がる中、あたしは心に引っかかったままのもやもやのことを考えていた。

あれから約一ヶ月。

浅丘君と久住君が話してるところを教室内で見かけることはなくて。

「一ノ瀬、ありがとな。ノート貸してくれたおかげでなんとか赤点は逃れられそう。」

だいぶ仲良くなった久住君だけど、なんとなくバスケ部の話はしちゃいけないような気がして。

でもね、思うんだ。

もしかしたら久住君は、またバスケをしたいんじゃないかって。

余計なお世話かもしれないけど、そう見えるの。

「あーい、今日の練習帰り、アイス食べに行かない？あたし割引券持ってるの！」

ほのちゃんと体育館に向かう途中、カバンからアイスクリーム屋さんの割引券をヒラヒラさせるほのちゃん。

アイスかー…

暑いし、いいなぁ。