一ノ瀬さん家の家庭事情。
でも話したくて。

「ありがと、一ノ瀬。」

今日も爽やかだな。

この合宿中に、少しでも距離が縮まればいいのにな。

でもこんなに忙しいんじゃ、到底二人になんてなれなさそう…

そう思っていた。


夕飯の後は勉強会。

進学校であるうちの夏休みには大量の課題。

「愛ちゃん、ここわかんないの?教えてあげよっか?」

「…はい!」

何故かあたしは隣の席に座ってた中川先輩に数学を教わることに。

「で、ここはx軸と交わるの交点の座標だから…」

ふんふん、なるほど。

中川先輩って真兄よりもよっぽど教えるの上手。

「おい!篤樹!てめえ愛にベタベタしてんじゃねえよ!」

真兄が中川先輩に向かってシャーペンを投げる。

「なんだよ、真。シスコンかよ。ごめんね、そう言ってるから俺はここまで。…あ、聡太!お前数学得意なんだろ、教えてやってよ。」

えっ!

浅丘君が!?

そんな、緊張しちゃうよ…

< 146 / 391 >

この作品をシェア

pagetop