一ノ瀬さん家の家庭事情。
「あれ、一ノ瀬、どこ行くの?」

「ちょっと自販機に…」

浅丘君のお礼を買いに行く、なんてわざわざ本人に言ったら変だよね。

「一人じゃ危ないよ。俺も行く。」

そう言うと、浅丘君はは部屋を出る。

あたしも慌ててついていく。


外は静かで、誰もいない。

海のそばだから聞こえてくるのは静かな波の音と、虫のなく声。

「浅丘君、ありがとう。…お礼と言っちゃショボイけど、なにか奢らせてください!」


「いいよ、そんなの。」

でも、あたしみたいに物分かりの悪い(何度真兄や玲に言われたことか)人に勉強を教えてくれた。

あたし、まだ何も返せてない。

「お礼がしたいの!遠慮しないで、どうぞ!」

そう言うと、浅丘君が笑った。

「じゃあ、お礼。夏休み、どこか行こうよ。」

「へ!?」

そ、それって、それって…

世に言う、一般的にはデ、デ、デ、デートってやつですか!?
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