一ノ瀬さん家の家庭事情。
びっくりして目をぱちくり。

「…ごめん、変なこと言った。…つうか、俺、かっこ悪いな。…焦ってんだ。」

浅丘君は髪の毛をかきながら下を向く。

「…一ノ瀬が優大と、楽しそうにしてんの見たら…すげえモヤモヤして。…ごめんな。」

あたしと久住君が仲良くしてるのを見て、モヤモヤする?

それって、…もしかして、ヤキモチ?

ねえ、浅丘君。

あたし、ドキドキしちゃうんだ。

そんな気ないのかもしれない。

浅丘君にとってはあたしなんてただの友達なのかもしれない。

だけど、もしかして、もしかしたらね。

あたしと、同じ気持ちでいてくれるんじゃないかって。

浅丘君も、あたしと、同じなんじゃないかって。

期待しちゃうんだよ。

見上げた彼の顔は少し赤くなっていた。

そんな表情、また期待しちゃう。

見つめ合って二人の間の時間はまるで止まったみたい。

あたし、この人のことが好きなんだ。
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