一ノ瀬さん家の家庭事情。
早く友達欲しいなー…

高校入ったら、彼氏!恋!

っていうのは、もう諦めよう。

でもせめて、友達がほしい。

あの兄貴達の呪縛にかかっている間は、きっと恋なんてできない…

「一ノ瀬さん、はい。プリント。」

前の席に座っていた、確か名前は浅丘聡太君。

笑顔が爽やかで、この二週間で毎朝あたしに挨拶をしてくれる、男の子。

「ありがとう、浅丘君。」

あたしがそう言うと、浅丘君はクシャッと笑う。

入学して二週間、浅丘君はいつもたくさんの人に囲まれていて、楽しそう。

いいなぁ、あたしも浅丘君みたいに誰とでも仲良くなれたらいいのに。

「…そんなに見られたら、照れるんだけど。」

「あっ、ごめんね!」

ついつい羨望の眼差しで見てしまっていた。

「一ノ瀬は部活、もう決めた?」

もしかして、話してくれるの!?

これは友達を作るチャンスかも!

男の子の友達だっていい!

話しかけてくれたことが嬉しいの!


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