一ノ瀬さん家の家庭事情。

思わず大きな声を出してしまった。

と同時にしまったと思った。

だって二段ベッドの上から玲がジーッとあたしを見てたから。

今の聞かれたかな…

浅丘君と二人で出かけるなんてことあいつらにバレたら、（とくにりっちゃんと真兄）

絶対絶対めんどくさいことになる！

「一ノ瀬？」

「えっ、はい！あ！」

「じゃあ、日曜に。」

「うん！」

あたしは電話を切ると、携帯をそっと机においた。

そして玲にバレないように部屋を出ようとした。

すると玲はスルスルと二段ベッドのはしごを降りてきてあたしの前に立ちふさがった。

「なに、どっか行くの？」

「まあ、ね…」

「男と行くの？」

やっぱり聞かれてた…！

でも勘のいい玲のことだ。

嘘なんてついたってすぐにバレるのが落ちだ。

こうなったら…

「お願い！みんなには内緒にして！…お願い、玲！」

あたしは頭を下げた。