一ノ瀬さん家の家庭事情。
「うーん…たしかに玲君は気持ちをあんまり顔に出したりしないし、クラスでもみんなとベタベタ群れるのは好きじゃなさそうだけど、でも…優しいの。」

や、優しい?

あの玲が?

「あたしね、入学したばっかりで、方向音痴だから委員会の教室わかんなくて迷ってたの。そしたら玲君が待っててくれたの。それからね、玲君の優しいとこいっぱい見つけてね。すごくすごく、好きだなあって…!恥ずかしいね!」

はるひちゃんは可愛く頬をおさえる。

まあでも、あたしがみんなと本当の兄弟じゃないって知った時に、悲しませないように玲なりにあたしのことを考えてくれた。

あの時はやさしいなって思った。

「愛ちゃんは?浅丘君のこと、すきなんでしょ?」

「…う、うん…」

なんだか照れる。

だってこのことを話したの、ほのちゃん以外にはじめてだもん。

(玲にはあたしからは話していない!)

「どこが好き?」

浅丘君の、好きなとこ。
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