一ノ瀬さん家の家庭事情。
あたしがそう言うと、ひなのさんはパアっと顔を明るくした。

「いいの?おねがいします!」

「いえいえ!」

なんだかおねえちゃんができたみたいですごく嬉しい。

うちは完璧に男子系の家族だから、お姉ちゃんに憧れてたんだよね。

「ただいまー!ひな!あ、愛!おかえり!」

今日も元気よくドアを開けて入ってくるりっちゃん。

「今日は律特製の天ぷらだぞ!愛、好きだったろ?」

りっちゃんの天ぷら、衣がさくさくで美味しいんだよね。

「うん、じゃああたしは二階で勉強してるね!」

二人っきりの時間を邪魔しちゃいけない。

自分の部屋のドアを開けると、し、死体!?

…と思ったら、玲。

もしかして、倒れてる!?

「ちょっと、玲!?大丈夫?」

肩を揺すると閉じていた目をだるそうにあけて、ゆっくりと起き上がる玲。

「なに?寝てたんだけど。」

こんな床で寝ないでよ!

倒れてるのかと思ったじゃない!
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