一ノ瀬さん家の家庭事情。
ご飯ができたよ、とりっちゃんが階下から呼んで、下に降りて行くともう一人、お客様が。

「みいちゃん!」

あたしの憧れてたすみれが丘の白いセーラー服を着たみいちゃんこと芹沢未来ちゃん。

七年前まであたしたちの隣の家に住んでいた、一つ上の幼なじみの女の子。

アメリカにお父さんの仕事で行っていたみいちゃん。

今年の四月からまたこっちに戻ってきたらしい。

「お邪魔します、愛ちゃん。」

「いいって、みい。そいつにそんな堅苦しい挨拶なんてしなくても。」

横から余計な口出しするのは真兄。

「よし、食べようか!」

人数が増えたので急遽天ぷらは変更して、まだ暑いのに、今日の晩御飯はお鍋。

にしても大人数だ。

「あっ、みい、危ないから俺とるよ。何がいい?」

すかさず気が利く優兄。

さすが、我が兄ながら紳士的。

「俺のが鍋から近いから、俺がとってやるよ!みいは豆腐が好きだよな!」

…何、この人。

なんか必死。



< 173 / 391 >

この作品をシェア

pagetop