一ノ瀬さん家の家庭事情。
浅丘君も久住君も自主練を毎日やってるし、二年の先輩を脅かすほどだって葉ちゃんも言ってた。

「一ノ瀬は、聡太が好き?」

…!?

な、なんでばれてるの!?

あたしはとりあえずだまり作戦。

だってこのこと知ってるの、ほのちゃんだけだと思ってたもん!

なんで久住君にばれてるの!?

あたしってそんなにわかりやすい!?

「一ノ瀬…」

下を向いていると久住君がつぶやき、ガシャンと自転車が倒れる音がした。

そして目の前には久住君の赤くなった顔。

ち、ちかい!

て言うか、この状況って…

「あれー?何やってんのかなー?」

その間延びした声に、ばっと振り返ると、そこにはニヤニヤした顔の真兄。

うわ!

よりによって…

一番見られちゃダメな人に見られちゃったよ!

慌てて離れるけど、もう遅い。

「お、俺…!帰ります!」

「気をつけなよー、ゆーだいくーん!」

真兄の笑顔が怖い…


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